書評

【書評】岩田さん-岩田聡はこんなことを話していた。

岩田さん 表紙

こんにちは、此町サンタです。

今回は記念すべき書評第一弾として、『岩田さん-岩田聡はこんなことを話していた。』を取り上げます。

任天堂の社長であった岩田さんの考え方を初めて知ったのは、ほぼ日刊イトイ新聞のサイトでした。今は下記の URLにまとまっています。

https://www.1101.com/iwata20150711/index.html

このサイトにおける岩田さん、糸井さん、宮本さんの対談は本当に輝いていて、当時ぼくは就職活動真っ只中でしたが、就活そっちのけで夢中で読んでいました。笑

今回紹介する『岩田さん-岩田聡はこんなことを話していた。』は上記サイトのインタビューも含まれているのですが、そんなことは岩田社長のファンとしては無問題ということで、発売後すぐに買って、2回ほど通読しました。

また、今回の書評を書くにあたってもう一度読んでみました。計3回読んでみて、3回とも感動したので、これは岩田社長をまだ知らない方や現在大学生の方にも是非紹介したいなあと思ったので、書評を書きます。

岩田社長のマネジメント論

岩田さんは最初HALというゲーム会社の開発者として勤めていました。HALは経営破綻に陥り、岩田さんは会社を立て直すため、社長に就任します。そこで社員一人一人と面談するのですが、その面談を通して、マネジメントとは何かということを掴めたと言います。

たぶん、その面談のときにわたしは「判断とは、情報を集めて分析して、優先度をつけることだ」ということがわかったんです。「そこで出た優先度にしたがって物事を決めて進めて行けばいい」と思うようになりました。(p.26)

ビジネスにおいても学業においても、もっとも優先度が高いものを発見しフォーカスすれば成功に近づきますよね。ごくごくシンプルな理論ですが、これを持続的に安定的に行うことは難しいので、いつもこの格言を胸に抱いて常に判断しながら暮らしていきたいです。

もう一つ、岩田社長のマネジメント論を引用します。

自分たちは、なにが得意なのか。自分たちは、なにが苦手なのか。それをちゃんとわかって、自分たちの得意なことが活きるように、苦手なことが表面化しないような方向へ組織を導くのが経営だと思います。(p.41)

余裕のない組織(個人)ほど、この原理がわからなくなります。僕も社畜よりのハードワークをしていた頃は自己認識の時間が無さ過ぎて、苦手なことが表面化してきたことは多々あります。組織でも個人でも、必要なタイミングで己の長所と短所を見直せると一歩レベルアップしますね。

岩田社長の宮本茂論

岩田さんが任天堂の社長だった頃、マリオやゼルダの生みの親である宮本茂氏は専務でした。お二人は常々任天堂の新しい企画を話し合い、その結果DSやWiiなどの類稀なるゲーム機や数々の優れたゲームソフトを次々と世に送り出しました。

岩田さんと宮本さんは互いに互いを尊敬し合う関係であり、特に岩田さんはご自身のことを世界一の宮本茂ウォッチャーと呼んでいます。この辺りの話も何か微笑ましいというか、実際微笑んでしまいます笑。

さて、岩田社長の宮本茂論とはどのようなものなのでしょうか。岩田さんの宮本茂論は本当に詳細なので、ここでは数点だけ抜粋させてもらいます。

「アイディアというのは、複数の問題を一気に解決するものである」これは、ゲームを作ってるときに、任天堂の宮本茂さんが言ったことで、宮本さんはゲームを作るときのひとつの方法論としておっしゃってたんですけど、わたしは、ゲームづくりに限らず、万能な考え方だと思うんですよね。(p.104)

時間と予算に制限されている以上、何かを取れば何かが取れないということは多々ありますよね。簡単な例で言えば、質のいいサイトを作ろうとしたら時間はかかかりますが、時間をかけないと質がイマイチのサイトしかできない、とかですかね。このように、両方を取ることが非常に難しいことがあらゆる局面で登場します。

宮本さんの提言する複数の問題を一気に解決するアイディアが出れば、両方を取ることもあるいは可能かもしれないですよね。また、そういう万能的なアイディアを出そうとする姿勢があれば、よりクリエイティブな仕事ができるというわけです。非常に為になる話です。

もう一つだけ、紹介を。宮本さんの「肩越しの視線」です。

宮本さんって、「こうやったら、こうなるはずや」っていうふうにつくって、もちろんその時点で、他の人よりははるかに打率が高いんですけど、神様じゃないので、それなりに間違うこともあるんです。それをどうやって補正してるかというと、社内から、そのゲームに触ったことのない人をひとり、さらってくるんですよ。さらってきて、何も説明せずに、いきなりポンとコントローラーを握らせて「さあ、やれ」って言うんですよ。(p.108)

作品作りにおいて、それに根幹から関わっているクリエイターであればあるほど、その作品に対するファーストインプレッションがわからなくなります。それを解消する為に具体的かつ効果的な施策を宮本さんは行っています。グーグルやアマゾンの理念である、徹底的にお客さん目線に!と言うことが最近もてはやされていますが、これは本来、日本企業が大事にしてきたことでもありますよね。

本書には上記の点以外にも岩田社長の宮本茂論がたくさんありますので、特に企画などに携わっている方は間違いなく勉強になるでしょう。

宮本さん、糸井さんから見た、岩田さん

宮本さんから見た、岩田さん

この箇所はなんだか最後の部分で泣けてきてしまったので、言葉にしづらいです。一言で言うならば、月曜日のランチ。ぜひ読んでみてください。

糸井さんから見た、岩田さん

糸井さんと岩田さんの友情も本当に理想の関係というか、憧れを感じてしまいます。糸井さんの岩田さんとの思い出について、以下のものが好きです。

「コンピュータにできることは、コンピュータにやってもらえばいいんですよ」って岩田さんが言ってたこと。日頃からコンピュータを駆使している人には当たり前のことなのかもしれないですけど 、ぼくには新鮮だった。「人間は、人間にしかできないことをやりたいんですから」って岩田さんはよく言っていて、ぼくも本当にその通りだと思いました。(p.197)

この岩田さんの発言は、ますます進んでいくIT社会やAI社会での生き方を示しているようで、含蓄のある言葉だと思います。人間にしかできないことをもっと突き詰めていける社会って素晴らしいですし、そのチャンスを生かしていきたいと心から思います。

まとめ

以上、『岩田さん-岩田聡はこんなことを話していた。』のレビューでした。本記事で紹介した箇所以外にも、あらゆるビジネスパーソンの参考になる話がぎっしり詰まっているので、是非読んでみてくださいね!